研究概要 |
本年度は,3次元はばたき運動の数値シミュレーションコードを開発し,上下運動とピッチ運動を同時に行う複雑な羽ばたき運動について3次元数値流体力学解析を行った.その結果,従来はばたき運動の揚力や推力の確保に支配的とされていた前縁剥離渦の効果に加え,翼端から発生する渦の寄与分も大きいことを示した.また,開発された数値シミュレーションコードと多目的最適化手法を組み合わせて多目的設計探査を行い,1)推力最大化と必要パワー最小化の間には強い相関関係がある,2)揚力最大化と必要パワー最小化には強い相関関係はない,3)揚力最大化と推力最大化の間にはトレードオフの関係がある,などのはばたき型MAV設計の上で有益な情報が得られた.得られたパレート最適解の流れ場についても詳細な分析を行い,流れ場と翼性能の関係を明らかにした.研究成果の発表に関しては,20年度に本研究課題により開発したパレート最適解群のもつベクトル情報からの新しい情報抽出法について研究を進め,国内外で計5件の学会発表を行った.学術雑誌発表も2件行っている.本年度行ったはばたき翼の流れ場解析の結果や多目的設計探査により得られた結果については22年度にロシアにて行われるInternational Conference on Computational Fluid Dynamicsで発表予定である.また,ここまでの結果をあらたに2つの投稿論文として公開するべく現在原稿を準備中である.
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