研究概要 |
近年,符号化方式の中で低密度パリティ検査(LDPC)符号は最も処理利得が大きく,飛躍酌な伝送容量の改善効果とロバストネズ向上をもたらすことが期待されている.そこで本研究では将来め惑星探査に不可欠な,超遠距離通信の要素技術である誤り訂正符号に,このLDPC符号化装置を適用するための研究をおこなった. 宇宙データシステム諮問委員会(CCSDS)で標準化された代表的な符号化形式として,探査機ヘアップリンクのコマンド回線で使用されるBCH符号,およびダウンリンクのテレメトリ回線で使用される畳み込み符号が挙げられる.Regular LDPC符号,BCH符号,および畳み込み符号,それぞれの符号化利得についてビッド誤り率(BER)を用いて評価するために,シミュレーション系を構築した.それらを比較した結果,コマンド回線のような64bit程度の短い符号長では,LDPC符号はBCH符号に比べ約3.9dBの符号化利得が大きく,一方のテレメトリ回ではLDPC符号(符号長4096bit)の方が畳み込み符号(符号化率1/2,拘束長7,軟判定ビタビ復号)に比べ約2.6dB符号化利得が大きいことがわかった.このことは従来の符号化形式からLDPC符号に変えることで,一定の距離であれば通信速度を改善でき,通信速度が一定ならば通信距離を,利得分だけ改善できることがわかった. 実装コストやハードウェア損失を評価するため,シミュレーション系による評価と並行して,LDPC符号化装置のハードウェア実装のためのテストベッドを構築した.テストベッドは,AD・DA変換器とデジタルアップダウンコンバータを持つプログラマブルロジックデバイスボードをPCにみ込んだものである.この他に,上記シミュレーション系の妥当性を検証するために,通信シミュレータを導入した.
|