造船設計者は後工程である生産工程も考慮した設計を期待されているが、製品およびプロセスの大規模化・複雑化が設計知識習得の本質的な難しさとなっていると考えられ、その難しさ、知識習得の負荷を情報技術により軽減することが喫緊の課題である。本研究では、生産など下流工程に配慮した基本設計を支援するために、大規模かつ複雑な船舶の設計・生産に関する知識をオントロジー技術により蓄積・再利用するシステムを開発した。 開発したシステムの評価は、造船会社へのヒアリングを通じて得られた生産工程や設計工程でのケーススタディにより行い、船殻ブロックの製品モデルおよび組立工程のプロセスを一元化して記述できることを示した。開発したシステムは、製品モデルおよびプロセスの関係を記述、蓄積でき、記述されたモデルから部品のツリーや組立工程のフローダイアグラムといった複数の形式で知識を出力でき、知識の再利用に有効であることが示された。また、生産工程において設計形状と実際の部材を計測して得られたデータを比較することにより加工工程の知識の抽出を行うアプローチの提案も行った。
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