昨年度に引き続き、新開発、もしくは改良を行った各要素を用いて実際の大規模計算を目的とした3次元計算プログラムの構築を行った。プログラムの実装にあたっては前年度の検討内容を生かし、また昨年度同様プログラム部品のモジュール化を考慮し、再利用性、可読性を向上させ、以降の応用研究に有効活用が容易になるよう配慮を行った。3次元計算において使用可能なフリースリップ、ノンスリップ境界などを粒子配置の不均一な任意の曲面配置状態でも可能にしたものの、畠当初の予定3次元境界要素法ソルバ部、ハイブリッド計算インターフェース部が残念ながら完成には及ばなかった。この際境界表現については大きな進歩が得られ、粒子の貫通防止、境界条件などが鏡面粒子の動的な生成・配置を行うことで人工的な安定化処理を省く形で実現できたと考える。またこの手法では壁面境界上に配置した粒子は単なるマーカーとして取り扱われるため、形状の表現精度のみにかかわる組み込み法となっているため、粒子の粗密による計算の不具合回避やポリゴンメッシュなどから計算用粒子を自動配置する際に大きなアドバンテージがあるものと考えられる。これらを踏まえ、応用計算例としてLNGタンクのスロッシングについて各種の計算を行った結果を中心とする研究成果について国際会議(WCCM/APCOM2010)において発表を行った。なおこれには前年度までに行われた粒子法の高速化に関する各種の手法の適用方法と前述の複雑な3次元壁面形状を任意に配置した粒子列で表現する手法の紹介が含まれる。
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