次世代高速炉や核融合ブランケットなどで粒子充填層型の炉心が提案されている。これらが社会に受け入れられるためにはその安全性の担保が必須であり、そのため充填層の内部構造診断や熱流動および熱機械特性を明らかにすることは重要である。本研究では、粒子充填層の内部構造を可視化し得る、音波の非線形性を利用した超音波CTシステムを開発し、その内部構造を計算空間に再現することで充填層の熱流動および熱機械特性を数値解析により明らかにすることを目的とする。 超音波診断ではビーム径を細くできないことに起因する分解能の低さ、音波の多重反射による虚像やノイズの多さが問題となる。本研究では音波の非線形パラメトリック作用の指向性の鋭さを応用し、高分解能の超音波CTシステムの構築を目指す。今年度の実験より固体(アクリル)一流体(水)間の音波の屈折率の違い、および超音波のノイズが結果に大きく影響することが分かった。屈折率の違いは水を適当な濃度の食塩水にすることで、超音波のノイズは入力電圧を大きくできないことに起因するが、これは受信側のハイドロフォンの信号をアンプで増幅することで解決できると考えられる。これらの改良を施し、引き続き非線形超音波CTの評価実験を行う。 上記実験と並行し、本研究では内部発熱をする粒子充填層をモデルを用いずに離散相として扱い可能な限り直接計算を試みる。今年度は粒子充填層の空隙部を流れる流体のLES(Large-eddy Simulation)流動解析コードを作成し、いくつかのパラメータにおいて計算を行った。流体の通り道となる空隙と、ほとんど流れのない淀み域と化した空隙の存在を確認することができた。
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