本研究では、軟エックス線用CCDカメラと、カットオフエネルギーの異なる複数のフィルターを用いて、磁場閉じ込め高温プラズマ中で局所的な電子エネルギー分布関数の歪みなどの理由により生じると考えられる、特定エネルギー領域の軟エックス線放射光強度分布の歪みの計測法を開発することを目的としている。本年度は準備段階として、大型ヘリカル装置「LHD」における計測システムの開発と整備を重点的に行った。イメージング用とフォトンカウンティング用の2台の既存CCDカメラを用い、接続する真空配管・フランジなどの仕様を決定して各機器の設計・製作を行い、LHDに設置した。超音波モーターによるフィルターディスクの遠隔駆動機構の設計・製作およびパーソナルコンピューターによる真空および計測タイミングの制御システムを構築してLHDに設置し、システム全体の動作試験を行った。イメージング用CCDカメラについては、長時間放電中で放電のシーケンスとの同期をとりながらフィルターの厚さを徐々に変化させてエネルギー分解イメージング計測を行った。電子サイクロトロン共鳴加熱プラズマによる長時間放電で得られた軟エックス線強度分布について、分布のポロイダル非対称性とエネルギー領域による差異に留意し、理諭計算との比較も行いながら今後解析を進める予定である。なおフォトンカウンティング用のCCDカメラについては、予想し得なかったカメラのトラブルめため実際のプラズマ計測には至らなかったが、現時点で本件は解決済みであり、次年度以降は計測が可能になる予定である。
|