本研究では、軟エックス線用CCDカメラと、カットオフエネルギーの異なる複数のフィルターを用いて、磁場閉じ込め高温プラズマ中で局所的な電子エネルギー分布関数の歪みなどの理由により生じると考えられる、特定エネルギー領域の軟エックス線放射光強度分布の歪みの計測法を開発することを目的としている。本研究で構築された計測システムを用いて、イオンサイクロトロン共鳴加熱プラズマによる長時間放電において、エネルギー分解イメージシグ計測実験データがこれまでに得られた。本年度は、エネルギースペクトルや理論計算との比較に基づいたより詳細な解析を中心に実施した。逆変換用のプログラムに使用するための平衡データベース拡充を進め、磁気軸や磁気面形状のシフトや変形を定量的に解析することができるようになった。これらの成果をまとめて学術誌に投稿した.観測エネルギー領域のピーク位置を1.9keVから4.8keVまで変化させ、高いエネルギー領域になるほど、軟X線イメージのピーグが、最大数センチ程度トーラス外側にシフトする傾向が系統的にみられた。分布のポロイダル非対称性とエネルギー領域による差異に留意して定量的な解析を進めた。電子サイクロトロン共鳴加熱プラズによる長時間放電における実験を追加で実施し、一台のCCDカメラでエネルギー分解イメージング計測を行うと同時に、もう一台のフォトンカウンティング用CCDカメラを用いて、波高分析法により軟エックス線領域のエネルギースペクトルの計測を行うことができた。チタン、クロム、鉄の各イオンからのKアルファ線のスペクトルも明瞭に観測することができた。
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