本年度は、RMPが3次元MHD平衡に与える影響の考察として、磁気島を含むトカマクの3次元MHD平衡を考察した。トカマクの3次元MHD平衡において"natural island"が出現する理由の一つとして、コイルの設置誤差等による誤差磁場が考えられる。また、実際の実験装置では加熱装置や計測装置が磁性体によって保護されるために、計測器や加熱装置が誤差磁場の発生源となり得る可能性が存在する。本年度は、フェライト鋼などの磁性体がITERの中に挿入された場合の3次元MHD平衡解析を行った。ITER実験では、後半にテストブランケットモジュール(TBM)が設置されることになっている。TBMはフェライト鋼で保護されている。TBMは合計3機、設置される計画であるが、トーラス方向に偏って設置されるため、全体として大きなn=1成分の摂動磁場をプラズマに重畳する可能性が示唆されている。これまで、入れ子の磁気面を仮定した3次元MHD平衡解析により、n=1の誤差磁場成分がプラズマ応答で変化する可能性が示唆されているが、δB/B_0~10^<-4>程度の誤差磁場が磁気島構造を出現させる可能性については、ほとんど考察されていない。そこで、本研究では入れ子の磁気面を仮定しない3次元MHD平衡計算コードHINT2を用いてITERの3次元MHD平衡解析を行った。その結果、TBMが作る誤差磁場成分がプラズマ内部に磁気島を出現させることがわかった。また、真空近似と3次元MHD平衡を比較するとプラズマ応答によりセパラトリックス付近の磁力線構造がストカスティックになることがわかった。今後は、得られた3次元MHD平衡を元に非線形MHD不安定性解析を行う予定である。
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