本研究課題では、核融合に必要な高閉じ込めモード(Hモード)プラズマにおいて観測されるプラズマの間欠的な放出(ELMパルス)のプラズマ外での伝搬を調べ、プラズマパラメータへの依存性からELMパルスの伝搬機構の解明を目指す。モーショナルシュタルク効果(MSE)計測器は計測用中性粒子ビーム(NB)をプローブとし、信号光強度はプラズマ密度に比例する。このため、ELMパルスの伝搬をプラズマ密度の伝搬として測定できることが期待される。ただし、MSE計測器はELMパルスによる信号光以外の背景光も観測するため、この背景光を除去しELMパルスの伝搬速度を評価する手法を確立することが肝要である。目的達成のために、以下の小課題を設定し課題に取り組んでいる。 (1)JT-60Uトカマクに設置されたMSE計測光学系の背景光測定用検出器に多チャンネル高速サンプリングデータ収集システムを設置し、既存の信号光測定系と同時に背景光を測定する。 (2)信号光から背景光の効果を除去する手法を開発すると共に、Hモードプラズマのスクレイプオフ層を伝搬するELMパルスによる密度増加の時間遅れからELMパルスの伝搬速度などを評価する手法を確立する。 (3)この手法を用いてELMパルスの伝搬速度等のプラズマパラメータに対する依存性を調べ、ELMパルスの伝搬を支配する物理を実験的に明らかにする。
|