本研究では、狭帯域・高繰り返し率Ti : Sapphireレーザーを用いた同位体選択的レーザー共鳴イオン化イオン源の開発により、高いビーム純度・高エミッタンス・高効率な不安定核ビーム生成を目指す。ここで用いるレーザーは、高繰り返し率で狭帯域の波長可変Ti : Sapphireレーザーであり、イオン化のための発振パルス同期およびこれを用いたイオン化スキームの開発を行うことを目的としている。 平成20年度は、以下の研究項目を実施した。 1. 狭帯域・高繰り返し率Ti : Sapphireレーザーの発振特性の評価 狭帯域・高繰り返し率Ti : Sapphireレーザーの発振特性の実験的評価を行い、複屈折フィルターを用いることで幅広い波長可変範囲が得られることを示した。また、Ti : Sapphire結晶内準位分布の時間発展シミュレーションモデルを構築し、ポッケルスセルによるポンプ光のスイッチングにより発振時間を数十nsオーダーで制御できることを明らかにした。 2. ドップラーフリーの2光子吸収励起・イオン化スキームの検討 狭帯域Ti : Sapphireレーザーを用いたTcの2光子吸収励起・イオン化スキームについて検討を行った。波長823.5nmの広帯域のTi : Sapphireレーザー(の2倍波)の2光子吸収によるTcイオン化に成功し、ドップラーフリー分光においてこのスキームが有用であることを示した。
|