今年度は、粒径を制御した純白金(Pt)や合金金属のナノ微粒子に対して、核種、エネルギーやフルエンスなど異なる条件の下でMeV級イオンビームを照射し、その触媒活性を表す電気化学特性への照射効果に関する研究を行った。具体的には、以下のとおりである。 まず、Ptのターゲットを用いてイオンビームスパッタ法によりグラッシーカーボン基板上に微粒子を堆積した。主にスパッタ出力、雰囲気、基板温度などの条件によって、量子サイズ効果を発現し触媒活性が高い粒径4nm以下のPt微粒子を得た。 次に、TRIM計算コードを用いることによりイオンビームが試料を完全に貫通し電子励起効果のみを与えると推測された450 MeV ^<129>Xe^<23+>、10 MeV ^1H^+、50 MeV ^4He^+などのビームをサイクロトロン加速器において照射した。照射条件として、フルエンスを10^8〜10^<14> ions/cm^2の間で変化させた。照射後、硫酸水溶液中でサイクリックボルタムグラム(電流-電圧曲線)を取得し、水素波の積分値から触媒比表面積(電気化学活性表面積)を求めるとともに、回転ディスク電極法により電極の回転角速度と酸素還元電流との関係を得ることで触媒活性を評価した。 以上の研究で不可欠な回転ディスク電極法による電気化学測定においては、電極部を任意に交換可能にしイオンビーム照射による変化を容易に解析するため、関連装置、部品を購入、整備した。
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