研究概要 |
電気自動車の普及にあたっては,充電時間の短縮,航続距離の確保,および回生エネルギーの有効活用という課題がある。本研究で提案する高速エコパワーサプライシステムは,高速充放電が可能で長寿命なキャパシタをバッテリ(リチウムイオン電池やニッケル水素電池)と組み合わせて利用することで,従来のバッテリのみを用いる電気自動車よりも高速な充放電を実現しようとするものである。これまでの試算により,キャパシタ搭載電気自動車の普及率が50%に達すると想定する2055年には25Mt-C/yearと,2007年の水準から34%減少することが明らかになっている。平成21年度には,キャパシタ,鉛蓄電池,DC-DCコンバータを組み合わせ,机上に配置できる規模の充電制御回路模擬実験装置を設計した。本模擬実験装置を用いることにより,実際のキャパシタおよびバッテリの充放電特性を測定し,それらの間での電力授受によるエネルギーロス,速度,性能劣化を測定することができる。また,DC-DCコンバータの動作プログラムをさまざまに変化させることにより,実際の自動車走行時および充電ステーションでの充電時におけるキャパシタおよびバッテリの状態を模擬することができる。実際に構築した模擬実験装置は,10個のキャパシタと4個のバッテリ(鉛蓄電池)を備え,それらを3個のDC-DCコンバータでコントロールするものである。今後は,本模擬実験装置を用いて上記特性を測定し,実際の高速エコパワーサプライシステムに必要な諸特性を明らかにする。
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