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2008 年度 実績報告書

多様な立地環境に適応した高山植物のエコタイプ分化の起源

研究課題

研究課題/領域番号 20770012
研究機関信州大学

研究代表者

平尾 章  信州大学, 山岳科学総合研究所, 研究員 (20447048)

キーワード系統地理 / エコタイプ / 高山生態系 / 位地環境 / 葉緑体DNA / 遺伝分化
研究概要

日本の高山帯では,世界的にも稀な強風と多雪環境によって, 風衝地と雪田という対照的なハビタットが成立する. 高山植物であるミヤマキンバイ(Potentilla matsumurae)は, これらのハビタットに適応して, 風衝地型と雪田型エコタイプに遺伝分化していることが栽培実験やアロザイム分析によって明らかになっている. 本研究では, 系統地理学的な手法を用いてエコタイプ分化の起源を明らかにしようと試みた. ミヤマキンバイは, 本州(中部〜東北)・北海道・サハリン・千島列島で分布が確認されている. 文献および現地調査から, 風衝地型および雪田型エコタイプの分布をまとめたところ, 風衝地型は分布全域にわたって認められたが, 雪田型は北海道および本州中部の日本海側に分布が限られていた. 東北地方では雪田植生があるにも関わらず, それらの雪田にはミヤマキンバイが分布していなかった. 次に, 日本の各山岳地域の風衝地および雪田から試料を集め, 葉緑体DNA(rpl20-rps12およびtrnTL領域の約1500bp)に基づく系統解析を行った. その結果, エコタイプ分化は単起源ではなく, 少なくとも北海道と本州中部では別個にエコタイブ分化が生じたことが明らかになった. 雪田で検出できたハプロタイプの種類は風衝地に比べて少なく, 雪田に特有のハプロタイプは見つからなかった. また, ある雪田で検出できたハプロタイプは, 同一山岳地域の隣接する風衝地でも検出することができた. これらの事実は, 風衝地型から雪田型へのエコタイプ分化の方向性を示唆する. 今後, Genomic scanを用いた適応的遺伝子の探索を試みる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Morphological and genetic variations of Potentilla matsumurae (Rosaceae) between fellfield and snowbed populations2009

    • 著者名/発表者名
      Shimono Y, Watanabe M, Hirao AS, Wada N, Kudo G
    • 雑誌名

      American Journal of Botany 96

      ページ: 728-738

    • 査読あり
  • [学会発表] 高山植物ミヤマキンバイにおける多起源的なエコタイプの分化パターン2009

    • 著者名/発表者名
      平尾章, 下野嘉子, 池田啓, 和田直也, 工藤岳
    • 学会等名
      第56回日本生態学会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      2009-03-19
  • [学会発表] 高山植物ミヤマキンバイのハビタットに応じたエコタイプ分化の起源2008

    • 著者名/発表者名
      平尾章, 下野嘉子, 池田啓, 和田直也, 工藤岳
    • 学会等名
      第10回日本進化学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-08-22

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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