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2009 年度 実績報告書

多様な立地環境に適応した高山植物のエコタイプ分化の起源

研究課題

研究課題/領域番号 20770012
研究機関信州大学

研究代表者

平尾 章  信州大学, 山岳科学総合研究所, 研究員 (20447048)

キーワード系統地理 / エコタイプ分化 / 高山生態系 / 立地環境 / 葉緑体DNA
研究概要

エコタイプとは同じ種に属しながら、異なる環境に適応して遺伝的分化を遂げたもののことであり、生物多様性を生み出す供給源となる。高山植物ミヤマキンバイは日本列島の高山帯に広く分布するが、風衝地と雪田という異なるハビタットに適応して2つのエコタイプ(風衝地型と雪田型)に遺伝的分化していることが明らかになっている。本研究では、系統地理学的にミヤマキンバイのエコタイプ分化パターンを解明することで、"天空の島々"として互いに隔離された高山生態系における生物多様性の創出メカニズムを理解しようと試みた。文献および野外調査の結果、ミヤマキンバイの風衝地型は本州中部から東北さらには北海道まで広く分布するが、雪田型は本州中部地方と北海道の日本海側に分布が限られていることが確認された。葉緑体DNAおよびAFLPに基づいた分子系統解析の結果、北海道と本州中部地方では独立的にエコタイプ分化が生じたことが明らかになった。日本産の高山植物の多くの種では、本州中部地方と北海道・東北地方では系統が大きく異なることが知られており、高山植物群集に共通した過去の分布変遷の歴史が、ミヤマキンバイのエコタイプ分化における系統的な独立性にも反映されていると考えられる。次に本州中部地方の北アルプスや中央アルプス、または北海道の大雪山と日高山脈といった山岳地域の間でエコタイプの系統関係を検討した結果、それぞれの山岳地域で多発的なエコタイプ分化が生じていることが明らかになった。さらにゲノム・スキャン法によって多型的なAFLP遺伝子座の遺伝的分化の程度を調べた結果、同じ山岳地域内の異なるエコタイプ集団では僅か数パーセントのAFLP遺伝子座のみが有意に分化していた。もし異所的分化が生じたとするとゲノム全体に遺伝的分化が蓄積しているはずであり、同一山岳地域での側所的なエコタイプ分化の可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Kinship between parents reduces offspring fitness in a natural population of Rhododendron brachycarpum.2010

    • 著者名/発表者名
      Hirao AS
    • 雑誌名

      Annals of Batany 105

      ページ: 637-646

    • 査読あり
  • [学会発表] ミヤマキンバイにおける平行進化的なエコタイプ分化2010

    • 著者名/発表者名
      平尾章, 下野嘉子, 和田直也, 成田憲二, 工藤岳
    • 学会等名
      第56回日本生態学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-03-16

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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