研究概要 |
本研究では、カンボジアの季節性熱帯常緑林における展葉現象の実態および展葉と蒸散速度の関係を解明し、カンボジアの季節性熱帯常緑林における乾季蒸散量を広域的かつ時系列的に推定することを目標としている。当該年度は林冠を構成する常緑樹種について展葉フェノロジーを調査し、乾季蒸散量測定樹種を選定した。先ず衛星NOAAによって取得されたNDVIの時系列変化の解析によって、展葉パターンを広域的に推定して類型化した。次に異なるパターンを示した地域を現地踏査し、優占する常緑樹種を判別した。乾季の前半に落葉する傾向を示したシェムリアップ州(カンボジア北西部)の環境省バイオマス調査林ではDipterocarpus alatusが優占していた。乾季の前半に落葉する傾向と乾季の前後半に2回落葉する傾向が混合していたモンドルキリ州(カンボジア南東部)の環境省保全林ではD. dyeriが優占していた。乾季の前半と後半に2回落葉する傾向が卓越していたコンポントム州(カンボジア中央部)ではAnisoptera costataおよびD. costatusが優占していた。既往の調査においてA. costataは乾季の前半に落葉し、D. costatus は乾季の前後半に2回落葉する傾向が認められている。以上の結果を踏まえて、乾季蒸散量測定樹種をD. alatus, D. dyeri, A. costataおよびD. costatusに定め、落葉展葉フェノロジー調査および個葉蒸散量測定用の足場建設を委託した。委託調査の結果は乾季が終了する来年度4月以降に回収する。
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