本研究の目的は、植物根の硝酸塩レベルによって変化を起こす、新らたな硝酸塩濃度蛍光指示薬を開発するものである。例えば、蛍光タンパク質の発光比率が変化することにより、硝酸レベルは変化する。このように、この指示薬は、二つの蛍光タンパク質間に起こる蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に大きく依存している。Synechcoccus PCC79 24 cyanobacteriumシアノバクテリアは、高親和性硝酸結合タンパク質NrtAを含み、その遺伝子によりコード化されたタンパク質は新指示薬として使用された。NrtAが適切なベクターでクローン化された後、そのクローン化された遺伝子は、CFPとYFPをコード化する遺伝子と融合された。この新たに作られた融合タンパク質で、FRET活動での発現に成功し、CFPが励起した時のみにCFPとYFPの両蛍光タンパク質の発光が見られた。わずかであるが、タンパク質が高濃度硝酸に露光された際、FRET比率でも上昇が見られた。高濃度硝酸比率は低硝酸レベルにおいても発現されるが、その比率は植物に使用するには不十分である。NrtA内の保存残基は同定され、部位特異的変異誘発に使用するために改良された。大きな硝酸反応の結果は得られなかったが、これにより硝酸高初期FRET比率を抑える事に成功した。植物根研究に用いるために、この指示薬の実用化に向けた最適化が今後期待される。
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