研究課題
NIMA関連キナーゼ(NEK)は、真核生物に広く保存されたタンパク質リン酸化酵素であり、細胞分裂期の開始や進行、中心体の分離、紡錘体の形成に関わっている。本瀬ら(2008)の研究により、シロイヌナズナのNEK6が細胞の伸長方向を調節することが初めて明らかになり、植物においてはNEKの機能が細胞伸長制御へと多様化していることが示唆された。本研究では、NEK6を中心に据えたシロイヌナズナNEKファミリーの機能解析を行い、植物細胞の成長制御の新たな側面を明らかにすることを目指した。NEK6の発現と局在の解析により、NEK6が分裂組織や伸長領域で蓄積すること、NEK6はフラグモプラストや表層微小管に沿ってダイナミックな挙動を示す顆粒状構造に濃縮されることを見出した。キナーゼアッセイと微小管のライブセルイメージングにより、NEK6は微小管結合タンパク質をリン酸化し、表層微小管配向の均質性を保つことが示唆された。NEK6は微小管結合タンパク質のSPR2,GCP2,ARKキネシンと遺伝的相互作用を示し、特にARKキネシンがNEK6の活性と局在に必要であることが示唆された。また、NEK6は他のNEKファミリーメンバーと相互作用して働くことを示した。特に、NEK6とNEK4の機能的相互作用が細胞伸長の方向制御に重要であることがわかった。これらの結果から、NEK6がNEK4や微小管結合タンパク質と協調して微小管構造を制御し、方向性をもった細胞成長に関与することが示唆された。
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http://www15.atwiki.jp/motosehiroyasu/