研究課題
本研究は、陸上植物における、光情報による成長相調節の基本プログラムの解明を目的とし、現存する種の中で、陸上植物の祖先に極めて近いと考えられる"苔類ゼニゴケ"をモデルとし研究を行った。20年度は、赤色光/遠赤色光の受容体であるフィトクロムに着目し、Pfr型フィトクロムがゼニゴケの栄養生長から生殖生長への移行を抑制していることを示唆する結果を得た。21年度は、20年度に得られた結果について再現性を取るとともに、ゼニゴケ形態形成におけるフィトクロムの機能について解析した。まずMpPHY-Citrine発現株、MpPHY^<Y241H>-Citrine発現株を用いて細胞内局在解析を行い、活性型Mpphyが核において顆粒状構造体を形成することを見出した。次にヒストンH2BサブユニットにtdTomatoを融合させて染色体動態を可視化した。その結果、葉状体切断面からの再生過程において細胞分裂頻度が赤色光依存的に増加し、その効果が遠赤色光により打ち消されることを確認した。さらにMpPHY^<Y241H>発現株について、フローサイトメトリーにより核DNA量を評価した。その結果、ゼニゴケの成長後期においては細胞が核相2Cである細胞周期G2期で停止すること、活性型MpphyがG2期からM期の以降を正に制御している可能性が考えられた。前年度得られた結果とあわせて、苔類ゼニゴケのフィトクロムが主として核で機能し、細胞分裂の間接的/直接的制御を行うことで、ゼニゴケの生長相転換を制御することが示唆された。
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Plant Physiology 152
ページ: 1529-1543
Plant Cell Physiology 50
ページ: 1041-1048