シロイヌナズナのゲノム中に存在するMAB4と高い相同性を示す7つの遺伝子群をMAB4/ENP-LIKE1-7(MEL1-7)遺伝子として名付け、機能解析を行った。まず、MEL1-4遺伝子の発現解析を行った。発現解析にはin situhybridization法および自身のプロモーター制御下でGUSレポーターを発現させる系を用いた。その結果、MAB4、MEL1およびMEL2遺伝子のみが器官原基および茎頂分裂組織で発現していた。一方、根系においては、MAB4およびすべてのMEL遺伝子の発現が確認された。これらの結果から、MAB4およびMEL遺伝子群は、部分的に発現領域を重複させながら機能していることが示唆された。また、それぞれの機能欠失変異体を入手し表現型解析を行ったところ、mel単独変異体は表現型を示さなかった。そこで、これらの変異体間で交配を行い、多重変異体を作製した。mab4 mell me12三重変異体は器官形成に重篤な欠損を示しピン状の花茎を示した。一方、mell me12 me13 me14四重変異体は根の重力屈性に異常を示した。これらの結果から、MAB4およびMEL遺伝子は機能重複的に器官形成および根の重力屈性に機能していることが示唆された。また、MAB4およびMELタンパク質の細胞内局在を調べるために、それぞれの遺伝子にGFP遺伝子を融合させ、自身のプロモーター制御下で発現させた。その結果、MAB4およびMELタンパク質は細胞膜近傍に極性をもって局在することが明らかとなった。これらの局在様式はこれまでに報告されているPINタンパク質の極性と極めて一致するものであった。このことは、MAB4およびMELがPINを介したオーキシン極性輸送に強くそして直接的に関与していることを強く示唆するものである。
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