研究課題
本研究は、植物の半数体細胞である花粉におけるオルガネラ可視化系を用いて(1) 従来単離することが困難であったオルガネラ関連の新奇突然変異体の単離法の構築と(2) 従来観察が不可能であった花粉におけるオルガネラのライブイメージング解析を行うことを目的としてしている。昨年までに(1)に関しては新知見を得、学術論文ならび学会発表を行っている。二年目(最終年度)である今年度は(2)に重点を置き、解析を進めた。花粉の栄養細胞特異的に発現する遺伝子のプロモーターを単離し、シロイヌナズナの栄養細胞の色素体を可視化できるVC-ptGFP植物体を作出した。VC-ptGFP植物体と花粉ミトコンドリアをRFPで可視化できる植物体(VC-mtRFP)とを交配し、花粉においてミトコンドリアと色素体を別々の蛍光タンパク質により、同時に可視化できる系を開発した。また、シロイヌナズナの葉緑体分裂異常変異体(ftsZ変異体)とVC-ptGFP植物体とを交配し、ftsZ変異体の花粉での色素体の分裂異常の有無について調べた。その結果、葉緑体ほどではないが花粉の色素体においても分裂異常がひき起こされていることが分かった。花粉の色素体は、チラコイド膜はほとんど発達しておらず、デンプンを蓄積しているアミロプラスト様構造であった。本結果は、葉の葉緑体と花粉の色素体(アミロプラスト)の分裂機構が一部重複している可能性を示唆している。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Plant and Cell Physiology 50
ページ: 904 908
Plant Cell 21
ページ: 3672 3685