研究概要 |
1.Ehd1の転写活性化に係る青色受容体の同定 新規青色光受容体遺伝子OsZTLとOsFKF1の機能解析を行った。OsZTLに関しては、遺伝子破壊系統(osztl-1)を、OsFKF1については、遺伝子破壊系統がないため、F-boxドメインを改変し、SCF複合体を形成できないドミナントネガティブ型(OsmFKF1)過剰発現体を用いた。現在までに、両変異体において、青色光依存的なEhd1の転写誘導に差は観察されていない。また、出穂表現型にも大きな差は見られていない。以上の結果から、両者はEhd1の朝の青色光依存的な転写誘導よりむしろ、概日時計やHd1の制御に機能する可能性を考えている(後述)。 2.OsGIの下流で機能し、Ehd1遺伝子発現を制御する転写因子の同定 ATGより上流約2.5kbpを最長として段階的に削り込んだEhd1:LUCレポーター(2.5, 1.8, 1.2, 0.8kbp)形質転換体を作製した。形質転換体当代を解析した結果、Ehd1の青色光応答に必要な制御領域は、上流0.8kbp以内に存在することが明らかとなった。 3.夕方から朝にかけてのOsGIタンパク質の安定性の解析 既存の抗OsGIポリクローナル抗体でOsGIタンパク質を検出することはできなかった。一方で、最近のイネカルスを用いたOsGIの生化学的解析(Abe et al. 2008)から、OsGIタンパク質は、タンパク質レベルが厳密に制御される不安定なタンパク質であると考えれらた。そこで、osgi変異体に対して、内在OsGIプロモーター制御下でHA-OsGIを発現する形質転換体を作出した。この形質転換体はosgiを相補するとともに、融合タンパク質が抗HA抗体で検出された。今後は、HA-OsGIの明暗周期中での挙動を解析する。 4.FKF1/ZTLのLOVドメインの光受容機構の解析 osztl-1を用いて時計および開花関連遺伝子の発現解析を行い、OsZTLがイネ概日時計制御因子として機能することを示唆する結果を得た。シロイヌナズナでは、zfl変異の表現型は恒明条件下で観察されるのに対して、イネのosztl-1では、明暗周期中での時計遺伝子の発現パターンに異常が観察された。
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