研究課題
アブシジン酸(ABA)のシグナル伝達にとって重要な因子であるSnRK2プロテインキナーゼの機能を解析する一環として、酵母ツーハイブリッド法を用いて相互作用タンパク質をスクリーニングし、カリウムトランスポーター様の配列を持つ候補遺伝子を複数単離した。そのうち、EIPI/EIP2と名付けた遺伝子について、シロイヌナズナでの機能解析を行った。まず、EIP1/2のノックアウト変異体を取得し、それらを掛け合わせて二重変異体を作成した。二重変異体の表現系を調べたところ、低カリウム条件下で塩ストレスを与えたときに感受性が高い結果を得た。このことから、EIP1およびEIP2は、塩ストレス下におけるカリウムの吸収に重要な役割を持つことが示唆された。最近、SnRK2が孔辺細胞のアニオンチャンネルであるSLAC1をリン酸化して活性を調節していることが示された。気孔の制御系においては、アニオンチャンネルとともにカリウムチャンネルも重要である。孔辺細胞で働くカリウムチャンネルとしてKAT1が知られており、東北大学との共同研究によってSnRK2がKAT1をリン酸化することを明らかにした。さらに、SnRK2と相互作用するタンパク質の一つとして、プロテインボスファターゼ2C型(PP2C)が得られ、PP2Cが直接SnRK2を脱リン酸化すること、また可溶性のABA受容体であるPYR/PYL/RCARがABA,存在下でPP2Cと相互作用し、PP2Cの脱リン酸化活性を阻害してSnRK2の活性化が誘発されること、などが明らかとなった。このように、SnRK2はABAのシグナル伝達系の中で中心的な因子の一つであり、様々なABA応答を制御していることが明らかとなった。
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