二型花柱性は被子植物の約20の科でみられる、外交配を促進するための種内の形態的多型で、めしべが長くおしべの短い花(長花柱花)を付ける株とめしべが短くおしべが長い花(短花柱花)を付ける株が存在する現象である。 二型花柱性を持つ植物の近縁種でこれが喪失している例がいくつか報告されているが、これまでは、集団の分断や極小化と、送粉を行う昆虫の減少などの要因によって、長花柱花内、短花柱花内でまれに起こる自家受粉がもとで生じる、という観点からの研究がもっぱらなされてきた。 本研究では予備観察をふまえ、倍数化が二型花柱性を喪失する要因の一つであるという位置づけで、アカネ科のアリドオシ属を材料とし、分子系統学的、細胞生物学的、繁殖生態学的なアプローチでその検証を行うものである。
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