研究概要 |
TRAS1-ENと特異配列DNAとの複合体結晶構造解析を目指して, DNAにチオール基を導入しTRAS1-ENをジスルフィド結合によって安定な複合体を得ることを試みたが, 参考文献の方法の濃度まで濃縮することが出来ず複合体を作ることが出来なかった. 次に, 結晶構造中で見えていないN末20アミノ酸を削除したコンストラクトを作製し、精製してDNAとの共結晶を試みたところ, これまでよりも多くの条件で結晶が得られるようになった. しかしいずれの場合もDNAの電子密度は見えなかった. DNAが結晶中に取り込まれているかを確認するため, 蛍光色素(TAMRA)でラベル化したDNAと共結晶を行ったところ, 周辺より赤く染まった結晶が得られた. しかしこの結晶を解析してもDNAの電子密度が得られなかったことから, TRAS1-ENはDNAと結合するものの, 一定の状態を取りにくいことが推定された. 現在の条件では共結晶を得ることはきわめて難しく, 今後DNAの配列およびTRAS1-ENのコンストラクトを改善することが必要と思われる. SART1-ORF2pの結晶化へ向けて精製条件検討を行った. 全長, ΔN, ΔC, およびZnの精製条件検討したところ, Znが最もアグリゲーションし易く, Znを除いたΔCがもっとも結晶化に適当と思われたので, ΔCをメインに精製を行った. アフニティカラム精製までは問題なく単一バンドが得られたものの, タグを切断すると不溶化しやすいことが判った. そのため, 発現量ではなく安定なタンパク質を得られるという観点から宿主大腸菌のスクリーニングを行ったところ, 今まで用いていたRosetta 2よりもCodonPlusの方が良い事が判った. これまでの知見を元に, 次年度は更なるドメインの削込みを行い安定なタンパク質を得ることが必要と思われる.
|