研究概要 |
TRASI-ENが特異的に二量体を形成し二量体で機能しているという仮説を検証するため,二量体モデル上の相互作用面にシステイン変異を導入し,人為的な二量体TRAS1-ENを作成した.RIBm-ENも同様にして,ジスルフィド結合した二量体を作成することができた.それらの結晶化を行い,X線結晶構造解析を行ったところ,両蛋白質とも結晶構造中にジスルフィド結合が確認された.また,二量体化によってDNAとの相互作用面積が増大することから,DNAとの結合能が増してDNAとの共結晶も得られやすいと考えられたが,特異的配列を持っDNAとの共結晶化は成功しなかった.さらに,二量体化によって切断活性にどのような影響があるかTRASl-ENについて調べた結果,単量体より若干の活性上昇が認められたものの,Hisタグの付いたままのTRASl-ENに比べ,半分以下であった.これはHisタグ自身が金属共存下で二量体を形成することと,塩基性のタグがDNAとのアフィニティを増していると推測される.さらに核磁気共鳴法によるTRASl-ENのDNAとの相互作用解析を目指して15Nラベル化蛋白質を精製し,HSQC測定を行った結果,シグナルの分散が悪くNMRによる解析は困難であることが判った. SARTl-ORF2pのRTドメインの性質が悪く,精製の際にネックとなることが明らかとなった.そのため,EN及びRTドメインの直前までのコンストラクトを作製し,発現まで確認した.ENとRTの間にはMyb様ドメインがあると推測されており,MybはDNA結合ドメインであることから,RTを含まない構造解析からもORF2pとDNAとの相互作用に於ける重要な知見を得ることが十分可能であると考えられる. 本課題とは別テーマであるが,21年度中に学術論文を2報(うち筆頭著者1報)発表した.
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