研究概要 |
前年度までの結果からLINE-ORF2pのRTドメインが非常に精製を困難にしていることが判ったので,ENドメインとRTドメインの手前までのコンストラクトの作製を行った.また,別種由来のホモログを用いると改善する例がしばしば見られることから,カタユウレイボヤ,ワムシ,蚊,ゼブラフィッシュ,ヒト,およびカイコの他のLINEのクローニング,発現系作製を試みた.ベクター作製の段階でトラブルが続いて時間がかかってしまったが,カタユウレイボヤのLINE以外はGSTタグを付けた発現ベクターを作ることが出来た.GSTタグの発現ベクターをCodonPlusに入れて少量スケールで培養してIPTGを加えて発現させた.菌体を超音波破砕して上清と沈殿をウエスタンブッロトで調べたところ,全てで発現は見られたものの,上清に発現しているものはTras1およびR1のみであった.しかしながら,量は少なく,また本来の長さより短い位置に多量のバンドが確認された. 途中に断片化し易い領域があると予想されたため,Tras1について,Myb様ドメインからRTドメインの直前までの長さを変えた4種類のコンストラクトを作製して,発現を調べることにした.また,各々N末のGSTタグと,C末のHisタグのコンストラクトを作製した.それぞれCodonPlusに入れて発現させ,アフィニティカラムで簡易精製したところ,GSTタグのものはTras1のN末付近で切られやすいことが判った.一方,C末のHisタグの方は発現は低いものの全長に相当するバンドがメインであり,単一バンドまで精製可能と判った. 今後,Tras1のC末Hisに関して発現宿主のスクリーニングと,培養条件を検討し,もっとも発現の良いものを用いて精製・結晶化を行う予定である,また本課題とは別テーマであるが,22年度中に学術論文を2報発表した.
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