細胞運動、細胞分裂、細胞接着、エンドサイトーシスなどの多様な生体反応において動員されるのはアクチン細胞骨格である。アクチン細胞骨格の制御は、N-WASPファミリータンパク質がArp2/3 complexを活性化し、アクチン重合が促進されるなりことにより形成される事が明らかとなっているが、細胞膜からどのようにN-WASPファミリータンパク質にシグナルが伝達され、制御が行われているかは不明である。 当研究により、N-WASPとWIPをHEK293細胞で共発現させる系を構築し、細胞に内在するNativeのActinを利用し、N-WASP+WIP+Actinの3者複合体タンパク質の調製が可能であることを確認した。現在、大量調製および結晶化を試みることが可能となった。また、N-WASP結合タンパクであるPacsin2のEFC/F-BARドメインの構造解析に成功した。明らかにした構造から、タンパク質の表面電荷および疎水アミノ酸からなるループを利用して膜と結合することによりPacsin2は脂質膜上でリング構造を作り、膜のチューブ化を引き起こすことを、変異体を用いたin vitroの実験により示した。さらにPacsin2は細胞のスパイク構造の基部の部分、すなわち、膜のチューブと同様の巻く形状を持つところに局在することを確認し、細胞のスパイク化に関与しておりスパイク化にも、膜の形状から推察されるように膜のチューブ化と同じ表面電荷および疎水アミノ酸からなるループを利用して関与していた。
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