1. PPM1DasおよびPPM1Df特異的認識抗体の作製 PPM1Dスプライシングバリアント特異的な抗体を作製するため、両タンパク質に特異的配列であるC端由来ペプチドを抗原に用いてポリクローナル抗体の作成を行なった。得られた血清をアフィニティーカラムにより精製しELISA解析を行なったところ、特異性および親和性が非常に高いポリクローナル抗体を得ることに成功した。 2. PPM1DasおよびPPM1Df特異的認識抗体を用いたタンパグ質レベルの解析 複数の培養細胞に対してスプライシングバリアント特異的な抗体を用いた免疫染色を行なったところ、PPM1D遺伝子の増幅が知られているMCF7細胞において、PPM1DfおよびPPM1Dasともに最も高発現していることが明らかとなった。また、MCF7細胞をアドリアマイシン刺激することにより、PPM1DfおよびPPM1Dasのタンパク質レベルが上昇し、遺伝毒性ストレスに応答して両タンパク質が増加することが観察された。さらに、乳がん細胞T47Dでは他の細胞に比べてPPM1Dasの発現量が多いことが判明した。 3. PPM1DasおよびPPM1Dfの細胞内局在解析 各PPM1Dバリアント特異的抗体を用いて細胞内局在を解析したところ、PPM1Dfは核内のみに局在する一方、PPM1Dasは核のみならず細胞質にも存在しうることが明らかとなり、PPM1DasがPPM1Dfと異なるタンパク質を脱リン酸化し、細胞内シグナル伝達を制御している可能性が示唆された
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