本研究は、シグナル伝達系構成要素(リガンド・受容体・アダプタータンパク質)の再構成による相互作用解析を行い、細胞内シグナルが分子間相互作用により一方向へ伝達されるメカニズムを明らかにすることを目的として行った。平成21年度には、リガンド、受容体組換えタンパク質を用いてリフォールディング条件を確立し、これらを用いてQCMによる相互作用解析行うことを計画し、まず、リガンド(TNFα)及び、可溶型TNFR2の大腸菌での組換えタンパク質発現系を構築し、大腸菌中で可溶型タンパク質として発現される条件を確立した(未発表データ)。また、同様にTNFファミリーに属するTRAILリガンド、およびTRAIL受容体1についも組換えタンパク質の発現を行い、そのリフォールディング条件を検討した。TRAIL受容体については、リガンド結合領域に位置する非同義置換SNPがリガンド結合親和性に与える影響相互作用解析により明らかにするため、非同義置換SNPを有する受容体組換えタンパク質を調整した。先行研究を基に、様々な組成でのリフォールディング条件を検討し、リガンドについては、ある程度の収率でリフォールディングを行うことができた。しかし、受容体タンパク質については、大腸菌での発現量が比較的低く、リフォールディングを効率よく行うことが困難であった。これらの組換えタンパク質を用いて、QCM(水晶振動子マイクロバランス法)での相互作用解析を行うため、組み換えタンパク質を金電極に固定化する方法を検討した。
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