SLC7ファミリーに属する12回膜貫通型タンパク質であるLAT1は、1回膜貫通型糖タンパク質である補助サブユニット(CD98/4F2hc)とジスルフィド結合を介して複合体を形成する。LAT1は4F2hcとヘテロ二量体を形成することによって細胞膜に局在し、はじめて機能を発現する。LAT1の細胞膜局在に4F2hcが必須な一方で、4F2hcがアミノ酸輸送にどのようにかかわっているかわかっていない。また、LAT1・4F2hc複合体と他のタンパク質との相互作用変化がアミノ酸輸送活性に影響している可能性もある。本研究課題では、これらのことを解析するため、LAT1、4F2hcおよびLAT1・4F2hc複合体の発現系・精製法およびリポソームへの再構成系を開発し、それを用いてアミノ酸輸送活性の詳細な解析を行い、4F2hcのアミノ酸輸送能に対する関与およびLAT1・4F2hc複合体と他の膜タンパク質の機能的相互作用を明らかにすることを試みている。平成20年度はアミノ酸輸送体LAT1、4F2hcおよびLAT1・4F2hc複合体の精製とリポソームへの再構成系を構築するため、発現系・大量発現系を哺乳類、昆虫細胞の系を用いた開発を進めている。またタグ付きタンパク質発現系の構築を進めると共に、タグなしのnativeタンパク質を精製するために、LAT1を大量発現しているセルラインをいくつか探し出した。さらにコムギ胚由来の無細胞系を用いたトランスポーターのプロテオロポソーム再構成系を構築中である。また、培養細胞系を用いたLAT1・4F2hc複合体の解析において、LAT1・4F2hc複合体がさらに二量体以上の複合体を形成していることを明らかにした。
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