研究概要 |
動物の生殖制御において生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)とその受容体(GnRHR)はきわめて重要な分子である。脊椎動物に最も近縁な原索動物の一種カタユウレイボヤは7種のGnRH(tGnRH-3-8,Ci-GnRH-X)と4種のGnRHRサブタイプ(Ci-GnRHR1-4)を有する。これまで、Ci-GnRHR4(R4)はいずれのtGnRHとも反応しないことから、「オーファン」もしくは「無機能」受容体と考えられて来た。本年度は、R4がCi-GnRHR1(R1)とヘテロダイマーを形成することで、R1を介したtGnRH-5,-6それぞれによる特定のProtein kinase Cサブタイプの活性化を介したERKリン酸化増強を解明した。また結合実験により、R4はいずれのtGnRHとも結合しないこと、及びR1-R4ヘテロダイマーはR1と同様の結合親和性を示すこと確認した。本課題研究により、オーファン受容体サブタイプがヘテロダイマー形成を介してGnRHRシグナル伝達を調節するという、新規のGnRH制御機構を全生物を通じて初めて明らかにした。
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