研究課題
Parkinは遺伝性パーキンソン病(AR-JP)の原因遺伝子であり、世界中で精力的に解析が進められている。その為にParkinに関して多数の論文が報告されているが、研究者間で必ずしもコンセンサスが得られていない事柄も多い。例えば、Parkinの細胞内局在はミトコンドリア内・小胞体(ER)膜上・分泌小胞上など研究グループ毎に異なる場所が報告されている。そこで、我々はまず使用する抗体の検定・評価を行った上で、マウス脳を用いて内在性Parkinの細胞内局在や存在様式を調べることにした.最適と思われる抗体を使用してマウス脳の細胞分画を行ったところ、Parkinは小胞体マーカーであるBip、ミトコンドリアマーカーであるFoF1ATP合成酵素、シナプス小胞膜マーカーであるNMDAR1、シナプス小胞マーカーであるsynaptophysinとは異なる挙動を示し、細胞質マーカーであるLDHと同様の挙動を示した。したがって、マウスの内在性Parkinは細胞質メインに存在していると考えられた。さらにParkinの細胞内での存在様式を調べる為に、マウス脳抽出液を用いたGlycerol gradientを行った結果、Parkinは見かけの分子量が60 - 100kDa程度の挙動を示した。この結果から、少なくともマウスのParkinは安定な巨大複合体を構成している訳ではないことが強く示唆された。また、MG53というユビキチンリガーゼが細胞膜の修復に重要な役割を担っていることを見いだし、論文として報告した。
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Nature Cell Biology 11(1)
ページ: 56-64