生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)を利用したカルシウム指示楽(BKAC)を開発した。これはカルシウムの有無によってRluc8に由来するスペクトルピークとVenusに由来するスペクトルピークの比が約60%変化する発光性のカルシウム指示薬である。このカルシウム指示薬をHela細胞に発現させて、1Hzでの観察を行う事ができた。これにより、ヒスタミン刺激に伴なう細胞内のカルシウム振動を観察することができた。また、シロイヌナズナに遺伝子改変を行い、安定的にBRACを発現させ、植物の病気を起こす遺伝子(Pseudomonas syringae pv. Tomato(Pst)DC3000)を持つ菌体Pst DC3000/avrRpm1をシロイヌナズナに感染し、約80分後に抵抗性を示す際に一過的にカルシウム上昇を示す事を可視化した。 ここまでで、当初の目的であった、1)発光をもちいた機能性指示薬開発、2)個体レベルでの機能イメージングまでを達成することができた。詳細な解析として、BRACのKineticsをストップドフロー装置を用いて解析した。また、同様にカルシウムを感受する発光性タンパク質であるAequorinとの比較をHela細胞に発現させて行った。 これらの結果をまとめて、PloS ONEに投稿し受理された。 最終的な目標である、生物発光-蛍光2重エネルギー移動についても現在、研究を進めている。
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