研究概要 |
マイクロRNA(miRNA)の機能を解明するための基盤を構築すると同時に,miRNAによる遺伝子の発現制御ネットワークの全体像を理解することを目的として,ヒト全miRNAの発現ベクターライブラリの構築およびmiRNAの活性を定量的にモニタリングできる「miRNAセンサー」の構築をおこなった.miRNA発現ベクターは,ヒトのゲノムDNAを鋳型にPCRで前駆体miRNA配列を含む領域を増幅し,発現ベクターに挿入した.また,miRNAセンサーは,成熟miRNAの標的配列を合成DNAオリゴヌクレオチドで作成し,これらをルシフェラーゼ遺伝子の下流部分に挿入したベクターを構築した.これらは平成22年度も継続して構築を進める予定である.また,miRNAの標的認識と同様に,siRNAもseedとよばれる7塩基の領域(ガイド鎖の5'末端から2-8番目)と相補性をもつ配列がmRNAの3'UTRにあれば,標的以外の遺伝子も抑制され得ることが明らかになり,オフターゲット効果と呼ばれている.我々のグループでは,siRNAのseed領域とmRNAが対合するときの熱力学的安定性の強さが,オフターゲット効果の大きさと強い相関があることを明らかにした.本研究ではこの結果を取り入れ,seedの熱力学的安定性が低く,オフターゲット効果が弱いと予測されるsiRNAを設計できるようなウェブサーバ「siDirect 2.0」(http://siDirect2.RNAi./jp/)を構築・公開した.
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