研究課題
本研究では哺乳類ミトコンドリアにおける蛋白質合成系の分子機構の詳細を解明することを目指し、特に当該年度は『リボソーム再生機構の解明』『ミトコンドリア翻訳因子の病的変異による疾患の発症機構』に取り組んだ。昨年までに、哺乳類ミトコンドリアにおける翻訳終結後リボソーム複合体は、RRF1mt(mitochondrial Ribosome Recycling Factor1)とRRF2mtにより解離されることを明らかにした。RRF2mtは、リボソーム再生過程に特化した新規の翻訳因子であり、新しく命名した。当該年度は、RRF2mtの機能特異性決定領域の同定、EF-G2mtによるGTP加水分解の役割の解析を行った。さらにWatanabe Y.博士らとの共同研究により、系統樹解析からバクテリアにもRRF2が存在することが示唆されたため、その生化学的検証を行った。ミトコンドリア翻訳伸長因子(EF-Tu_<mt>, EF-Ts_<mt>)の病的変異による疾患の発症機構について調べた。EF-Tu_<mt>はアミノアシルtRNAとの親和性、EF-Ts_<mt>はEF-Tu_<mt>、との親和性、がそれぞれ低下しているために、ミトコンドリアにおけるタンパク質合成能が低下していることが明らかとなった。またEF-Tu_<mt>の病的変異体の解析から、EF-Tu_<mt>はアミノアシルtRNAの5'リン酸基を強く認識ことが明らかとなり、原核生物EF-Tuとは異なるアミノアシルtRNAの認識様式をもつことが分かった。
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