研究課題
申請者は、高等真核生物で例外的に標的組換えが効率的に起こることが知られるトリBリンパ球細胞由来DT40細胞株の解析を通じて、標的組換えがどのようなメカニズムでDT40細胞で高いのか? という謎を解き明かし、この知見を動物や植物と行ったこれまで標的組換えが困難であった細胞に応用できるような技術の開発につなげることを目的として研究を行ってきた。当初計画していた実験で、DT40細胞の転写因子(Pax5, Ikarosの2種)のノックアウトによるB細胞系譜からの逸脱に伴う標的組換えの低下や消失は見られなかったことから、DT40と細胞系譜が変質して標的組換えしなくなった細胞間のtranscriptomeアプローチでの比較解析は困難となった。ところが、昨年Blm(ブルーム症候群の原因遺伝子)とExo1(エキソヌクレアーゼ)が協力してDNAの組換えの過程で働くことを示す基礎データが海外の複数のグループから報告された。これを受けて、我々はDT40細胞でこれらの因子を発現させたときに、ある制限酵素(I-SceI)によって誘導されるタイプの標的組換えが50倍から100倍程度高まることを見いだした(論文投稿中、特許出願中)。なお、今年度の成果として作製した、Pax5転写因子破壊細胞は、B細胞系譜からプラズマ細胞へと任意に分化誘導でき、簡便に細胞内小胞体ストレスをアッセイできる系として別の研究テーマに使用する予定。現在、Blm-Exo1の共発現により、ターゲットした組換えによる標的遺伝子破壊が同様に上昇するのか、検討をしている。また、ヒト細胞で同様のターゲット組換えの上昇が起こるのか検討する予定である。
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