研究概要 |
1)ミトコンドリア外膜に局在する脱ユビキチン化酵素USP30の発現を抑制するとミトコンドリアの伸長を促進することを見出し, この促進にUSP30の酵素活性が重要であるかを解析した。USP30の発現をRNAiにより抑制した細胞に対して, 正常型および酵素活性欠失型変異体のUSP30をそれぞれ過剰発現してミトコンドリア形態について観察した。その結果, 正常型の発現によって正常なミトコンドリア形態を示したのに対して, 変異体ではそのような回復が認められなかった。以上から, USP30がミトコンドリア膜上でのユビキチン化を負に制御することによってミトコンドリアの形態を調節しているという新しいメカニズムを提唱することができた。 2)マウスの新規ミトコンドリア形態制御因子GGNBP1の機能解析を行った。ノーザン解析・免疫組織染色によってGGNBP1は発生段階の精子細胞に特異的に発現していることが分かった。さらに, GGNBP1は精子細胞内のミトコンドリアやミクロソーム膜に局在することを明らかにした。上皮系の培養細胞を用いた解析では, GGNBPIはミトコンドリアの膜間スペースに局在し, 分裂因子Drplの活性に依存したミトコンドリアの断片化を促進することが分かった。さらに, 部位欠失変異体の解析から, この断片化促進活性にはDUB1055ドメインを含むC末領域が必要であることを明らかにした。精子細胞では精子形成時に必要な手ネルギー供給を満たすためにミトコンドリアの数を増加させているが, 恐らくGGNBP1はミトコンドリア断片化反応を調節することによりにミトコンドリアの数と形の制御に関与していることが考えられる。
|