本研究では、v-rasやv-srcによる形質転換細胞において転写調節因子であるMRTF (myocardin-related transcription factor)の活性が低下していること、またMRTFが様々なアクチン細胞骨格遺伝子の発現を誘導することでこれら形質転換細胞の転移、浸潤、腫瘍形成能を抑制していることが明らかとなった。また、MRTFと同じファミリータンパク質であるmyocardinが細胞周期抑制因子であるp21の発現を制御しており、平滑筋肉腫においてmyocardinの発現量減少が肉腫細胞の増殖を亢進させていることも見出した。さらに、活性型のMRTFやmyocardinを形質転換細胞や肉腫細胞に導入することで、これらの細胞の転移・浸潤能や細胞増殖能を顕著に抑制することが可能であった。
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