研究課題
アフリカツメガエル(以下Xenopus)は幼生期においては四肢を切断されても完全に再生できるが、変態が完了した後のfrogletでは軟骨のみからなる一本のスパイク状構造しか再生できなくなる。この四肢再生能の違いが生じる原因を分子レベルで明らかにし、再生能が低下した四肢の再生能を回復させることを最終的に目指すためには、特定の遺伝子を時期特異的に発現させる実験系が不可欠である。この目的を達するために、熱ショックプロモーター(hsp70)およびテトラサイクリン(Tet)による発現誘導系を組み込んだトランスジェニック(Tg)個体の作製を計画した。XenopusにおけるTg個体作製(transgenesis)の方法としては主にREMI法とI-SceI法の2つの方法があるが、幼生期や変態後まで生存するTg個体を大量に作製することは、一部の研究室を除いて困難とされていた。しかし今年度の研究によって、現在の研究室において上記の2つの手法のいずれによっても大量のTg個体を得ることが可能になった。そこでまず熱ショックプロモーターを利用した発現誘導系を用いてWntシグナル経路を阻害する実験を行った。研究代表者は以前に幼生期の四肢再生において同シグナル経路を再生開始時期に阻害すると、四肢再生が完全に阻害されることを報告している。ところがfrogletの時期において同シグナル経路を阻害しても四肢再生の阻害がみられず、スパイク状構造の再生が起きることを今年度の研究から明らかにした。したがって幼生期と変態完了後とでは異なる機構で再生の開始が行われている可能性が示唆された。またTetを用いた遺伝子発現の誘導系によって、実際に特定の遺伝子の発現を再生芽特異的に誘導しうることを作製したTg個体を用いた実験から確認した。
すべて 2008 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Development, Growth and Differentiation 50
ページ: S177-S187
Seminars in Cell and Developmental Biology 20(印刷中)
http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/tamlab/index.html