研究課題
1. 上衣細胞繊毛の形成過程において基底小体の分布変化を調べ、細胞の前部に基底小体が集積することを見いだした。多数の繊毛を有する細胞において基底小体の分布が細胞内で前後軸に沿った局在を示すことは今まで報告がなく、繊毛細胞の平面極性形成の新たな一面を発見したものであり、繊毛機能を理解する上で重要と考えられる。2. 上衣細胞における基底小体の分布を制御する因子として、繊毛の運動方向の決定に重要である液流の効果を培養系で検討した。培養下にて上衣細胞を高効率に分化させ、人工的に生じた液流を与えたが、基底小体の分布に極性はみられなかった。このことは、液流のみでは基底小体の正常な分布には不十分であり、基底小体の分布は繊毛の方向とは異なるメカニズムに制御されることが示唆された。3. 上衣細胞の極性を制御する因子の候補としてPCPコア遺伝子群の発現を調べるため、エフェクター分子Dishevelled2の機能阻害を行った。Dishevelled2のドミナントネガティブ型変異体を発現するレンチウイルスを生後1日のマウスに注入し、生後10日において繊毛の運動方向を透過型電子顕微鏡を用いて解析した。その結果、Dishevelled2の阻害により繊毛の運動方向は異常になることが明らかになった。また、培養細胞においても、Dishevelled2の阻害により繊毛の運動方向が異常になることを繊毛運動の高速イメージングにより確認した。この結果は、PCP経路が繊毛の運動方向決定に重要であることを示している。
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