研究概要 |
研究I. 海馬神経細胞でのプレキシン分子の局在制御機構について. 2種類のプレキシン分子(plexin-A2, plexin-A4)の局在に関わる分子内領域(局在化分子内ドメイン)を決定するために必要な, 解析系の構築を行った. 局在化分子内ドメインを探索する際には, 種々のプレキシン組換え体について, 海馬神経細胞での局在を調べる系が必要である. このような解析の際, 一般的には, 細胞膜上に存在する分子を検出するため, 外来蛋白質の一部分(タグ)を目的の蛋白質に付加しそのタグを認識する抗体を用いて解析する. この方法を用いて, タグを付加したプレキシン分子を初代海馬神経細胞に導入したところ, 一般的なタンパク質に比べてプレキシン分子は検出されにくいことが判明した, そこで, 高感度に組換えタンパク質を検出できる方法(Howarthら, 2005)を導入した. この方法は, 目的のタンパク質にビオチン分子を付加し, さらにこのビオチンに結合するアビジンをあらかじめ蛍光分子で標識アビジンを利用して検出する方法である. この方法により, 培養神経細胞に導入したプレキシン分子を検出することが可能となった. また, 種々の組換えプレキシン分子を発現させるための遺伝子構築を行った. 今後, 初代海馬神経細胞を利用して, 局在化分子内ドメインを決定し, 局在制御に関与する分子の探索と機能の解析を行う. 研究II. 海馬歯状回顆粒細胞の細胞層形成/維持機構について. plexin-A2ノックアウトマウスについて、歯状回顆粒細胞層の構造異常が発生時期を特定するために、まず、層構造形成初期にあたるマウス胎生後期において、顆粒細胞のマーカー分子であるProx1を用いて免疫組織学的な解析を行ったところ、野生型マウスと比べて顕著な差は認められなかった。今後、生後マウスでの解析を行い、異常発生時期の特定と異常発生様式について解析を行う。
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