研究概要 |
食虫植物は貧栄養な湿地に生育するが,窒素肥料やNOx降下により地球全体が富栄養化し,その生育地は減少傾向にあるといわれている.全国に自生する食虫植物モウセンゴケ(Dr)は貧栄養地でのみ生育しており,東海地方でコモウセンゴケとの雑種として成立したトウカイコモウセンゴケ(Dt)は比較的富栄養な土地でも生育していることを水質調査から明らかにした.次に,栽培実験を行って,Dt はDr より富栄養環境下でも生育でき,環境の富栄養化に適応していることを明らかにした.さらに,高硝酸培地で生育させた植物体中の亜硝酸イオン濃度がDs,DtよりDrで高かったことから,高硝酸培地でのDrの生育不良が細胞内への亜硝酸イオンの蓄積に起因する可能性が示唆された.また,硝酸還元酵素遺伝子の解析にも着手した.
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