研究課題
平成21年度にはまず、過年度にタンザニア・マハレ山塊国立公園において収集した野生チンパンジーの攻撃的交渉のデータ分析をすすめた。攻撃的交渉とストレスの生理学的指標との関連についての論文の執筆準備をおこなった。また、6月14日から8月28日までタンザニアへの出張をおこない、マハレ山塊国立公園にて野生チンパンジー(M集団)の野外調査をおこなった。約160時間の直接観察により、フィールドノート5冊、ビデオテープ6本分のデータを収集した。主に未成熟個体を対象として個体追跡をおこない、攻撃的交渉と葛藤解決行動(仲直り)、慰め行動についてのデータ収集をおこなった。年度の後半には、京都大学霊長類研究所の飼育チンパンジーを対象として、音声コミュニケーションについての行動観察をおこなった。屋外放飼場でのチンパンジーの発声行動を記録し、それに対する実験室内のチンパンジーの反応を分析した。霊長類研究所のチンパンジーは2群に分けられており、自分が所属する群れの音声に対してよく反応する傾向があったが、闘争時の悲鳴などの音声に関しては反応性が高まり、別群の音声にも関心を向けていることがわかった。以上の結果を国際シンポジウムにて発表した。現在、論文の執筆をすすめている。他に、チンパンジーを含む動物の「笑い」に関する記述を整理し、ヒトの笑いと進化的につながる行動について論じた文章を公表し、学会などでも発表をおこなった。また、ビデオ映像を用いて野生チンパンジーの行動目録を作成し、攻撃行動や威嚇的ディスプレイの行動パターンについても整理した。初年度に収集した保育園のヒト幼児の攻撃的交渉に関するデータの分析も進めた。今後、チンパンジーとの詳細な比較をおこなっていく。
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CHILD RESEARCH NET, http://www2.crn-or.jp/blog/report/01/51.html
CHILD RESEARCH NET, http://www2.crn.or.jp/blog/report/01/49.html