研究概要 |
植物や酵母細胞における耐塩性に寄与する塩誘導性PMP3タンパク質の機能解析および植物の耐塩性機構における生理的役割の解明を目的として、1、イネ植物体における新奇OsPMP3遺伝子群の単離、2、Δpmp3酵母の示す高塩感受性に対するOsPMP3遺伝子群の相補性解析、3, OsPMP3-3遺伝子過剰発現イネの解析、を行った。 1、イネ植物体における新奇OsPMP3遺伝子群の単離 OsPMP3遺伝子群はこれまでにOsPMP3-1から-7まで単離していたが、本研究においてPCR法により新たにOsPMP3-8とOsPMP3-9遺伝子の単離に成功した。 2、Δpmp3酵母の示す高塩感受性に対するOsPMP3遺伝子群の相補性解析 Δpmp3酵母が高濃度のNaClおよびHygromycin Bに対して高感受性を示すことを利用し、野生型およびΔpmp3酵母を用いて、OsPMP3遺伝子群による相補性解析を行った結果、9つのOsPMP3遺伝子群の内、OsPMP3-1, -2, -3, -4, -5, -7の6つが相補性を示した。また、精製に必要なタグとして、HAタグまたはHisタグを単独でつけた場合機能が保持され、タグを複数付けると機能が喪失されることが分かった。 3、OsPMP3-3遺伝子過剰発現イネの解析 OsPMP3-3遺伝子過剰発現用ベクターおよび空ベクターを導入したイネのT3世代の種子を収穫した。T2種子を用いた成育実験では、OsPMP3-3過剰発現株では耐塩性が向上したが、塩ストレス下でのCaシグナル伝達関連遺伝子の発現量に野生株との差は見られなかった。
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