本研究は海岸地域のレクリエーション利用が環境に与える影響を把握し、効果的な管理手法について明らかにすることで持続可能なレクリエーション利用を提言することを目的としている。本年度は第一に日本の海岸域における環境保全と利用管理の現状を把握することを目的とした。全国の海岸保全基本計画から海岸管理における環境保全上・利用管理上の課題を抽出した結果、多くの海岸は漂着ゴミや利用者によるゴミの放置を問題として挙げていた。第二に、北海道の石狩海岸を対象とした車両の海岸砂丘への乗入れが海岸植生や砂丘地形に与える影響、ならびに植生・地形回復に有効な管理手法を把握することを目的に、調査地の選定および植生回復試験区の設置を行った。車両の乗入れが確認されている区域では、その走行台数を計測するためトラフィックカウンタを設置し、8月〜11月にかけての走行台数を計測した。その結果、車両の走行は8月の週末に集中し、最大1日あたり24台の走行が見られ、走行台数は決して多くはないが、これだけの車両の走行が海岸植生の減少と砂丘地形の改変に大きく影響していることが把握された。植生回復試験区については、完全に車両の乗入れを防止し、(1)そのまま回復状況をモニタリングする地点(2)防風ネットで囲い砂の移動を軽減して回復状況をモニタリングする地点、(3)地形が改変された場所を埋め戻し防風ネットで囲んで砂の移動を軽減して回復状況をモニタリングする地点、の3地点を現地海岸砂丘上に設置した。これは今後3年間の動向を把握し、車両の乗入れ台数の変化とあわせて最終年度で結果をまとめるものである。
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