研究概要 |
チマサンチュー'(非結球性)と'レッドファイヤー'(半結球性)の交配に由来するF_5集団169系統を播種し、播種後50日目に、葉長、葉幅、葉の中肋の高さ、葉の中肋の幅、葉縁の波打ち程度、葉数、葉の立ち上がり角度について調査を行った。また、葉を広げた状態で真上からデジタルカメラで撮影し、その画像から葉の形と面積をSHAPE Ver.1.3(Iwata and Ukai,2002)により解析した。葉の色は色差計で測定した。 Windows QTL Cartographer Ver.2.5を用いて複合区間マッピング法でQTL解析を行った結果、葉長に関するQTLが第1、5、8連鎖群の3か所で検出された。その中、第1連鎖群のQTLと同じ位置に中肋の幅、葉の立ち上がり角度、葉形比に関するQTLが検出された。葉形について主成分分析を行った結果、第4主成分までで全変動の80%以上を説明していた。第1主成分は葉の横縦比、第2主成分は葉身の幅、第3主成分は葉の重心、第4主成分は葉の中心の膨らみを評価していた。葉形の主成分スコアを用いてQTL解析を行った結果、葉の横縦比を決める第1主成分のQTLが第9連鎖群に検出され、葉の中心の膨らみを決める第4主成分のQTLが第1連鎖群に検出された。葉色については青~黄色の色彩を決めるb値のQTLが、第1、9連鎖群で計2か所検出された。 以上、葉の形、葉の立ち上がりの角度および葉の色に関する複数のQTLが見出された。第1連鎖群上で葉長、中肋の幅、葉の立ち上がり角度、葉形比に関するQTLがクラスターとして存在したことから、結球に関係すると考えられる葉の立ち上がり角度と葉長、中肋の幅、葉形比との間に密接な関連があることが示唆された。また、レッドファイヤーの対立遺伝子が葉身および葉柄の幅を増加させる方向に働くことから、半結球性レタスでは葉の横縦比および葉柄の幅を増加することで葉が相互に抱合することが示唆された。
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