研究概要 |
本年度は以下の3点を中心に実施し、次年度計画の遂行に重要な成果を得た。 1.カイコPheRSのアミノ酸結合ポケツトヘの変異導入 カイコフェニルアラニル-tRNA合成酵素αサブユニット(PheRS-α)に含まれるアミノ酸結合ポケットを空間的に拡張するため、Thr407をAlaまたはGlyに置換した変異体(T407A,T407G)ならびにAla450をGlyに置換した変異体(A450G)、さらにこれらの二重変異体(T407A/A450G,T407G/A450G)の計5種の改変型PheRS-a遺伝子を、PCRを用いた部位特異的変異導入法により作製した。 2.カイコPheRS-β遺伝子のクローニング 次年度に実施するin vitro機能解析に用いるカイコPheRS-β遺伝子をカイコ絹糸腺よりクローニングし、その全配列を明らかにした。 3.改変型PheRS-αおよびモデルタンパク質を共発現するカイコ培養細胞の作出 野生型および5種の改変型PheRS-αならびにモデルタンパク質として緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする高発現プラスミドベクターを作製した。これらベクターをトランスフェクションしたカイコ卵巣由来培養細胞(BmN)におけるPheRS-αおよびGFP遺伝子の発現を、それぞれRT-PCR法および蛍光観察により確認した。 次年度は、共発現BmN細胞をパラ位置換Phe誘導体を含む培地中で培養し、Phe誘導体のGFPへの取込効率を解析する。また、カイコPheRSのin vitro機能解析系の確立に着手する。
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