研究概要 |
エンドファイトは病害耐性、窒素固定、植物ホルモン産生など有用な形質を植物にもたらすことから農業、環境分野への応用が期待されている。本研究は、細菌エンドファイトが宿主植物の防御機構を回避して感染・定着する過程に必須な遺伝子を、高効率のスクリーニング(Signature-Tagged Mutagenesis法)により同定するとともに、それらが感染・定着の成否を決めるメカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的とする。20年度はMesorhizobium lotiがイネの根および地上部に定着するうえで必須な遺伝子の一次スクリーニングを行った。はじめにM. lotiの接種方法を検討した。表面殺菌したイネ種子を水を含ませた濾紙上で発芽させ、それらをバーミキュライト、石英砂、軟寒天、および水耕液に移植し根圏にM. lotiを接種した。いずれの場合でもM. lotiの感染が認められたが、個体間の感染細菌数にばらつきが少なかった水耕が適当であると判断した。そこでSTMタグ配列をもつトランスポゾンが挿入された変異株集団を水耕で生育させたイネに接種し、感染効率が低下した変異株を選抜した。その結果、全3, 156変異株から多数の候補株が得られた。次年度は、一次スクリーニングで得られた候補株の混合接種(二次スクリーニング)により、確実に感染効率が低下した変異株を取得する。得られた変異株の変異遺伝子の機能を解析することによりエンドファイトの感染戦略が明らかになると期待される。
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