1、金属集積関連QTLの解析 約20元素の放射性同位元素の混合溶液である理研マルチトレーサーを用いて、ミヤコグサGifu B129とMiyakojima MG-20間で作成されている組換え自殖系統(RILs)における金属元素の集積様式の比較を行った。本年度の研究から地上部の、特に茎におけるZnとSrの集積に関与すると考えられるQTLが、Znで10箇所、Srで4箇所得られている。このうち3箇所のQTLはZnとSrで共通していたが、Srの残りの1箇所は独立したQTLであった。これらは元素集積の制御機構に、共通する遺伝子と独立した遺伝子があることを示唆しており、植物の金属集積における協調性と独立性を示していると考えられる。また昨年6月に公開されたミヤコグサゲノムの塩基配列データを基にして、シロイヌナズナなどでZnの集積に関連すると報告されている既知遺伝子の相同遺伝子を探索したところ、地上部でのZnの集積を指標にして得られたQTL領域にZn輸送体(AtHMA4)の相同遺伝子が含まれていることが示唆された。 2、既知金属集積関連遺伝子の発現解析 既知Zn輸送体遺伝子(AtHMA4)のミヤコグサにおける相同遺伝子の機能を解析するために、ミヤコグサESTライブラリから該当QTL領域の遺伝子が発現した転写産物であると考えられるESTを選抜した。その配列情報を基にプライマーを設計し、RT-PCRによる発現量の解析を行っている。また併せて品種間での塩基配列比較も行うため、Gifu B129とMiyakojima MG-20それぞれから本相同遺伝子のクローニングを行っている。
|