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2009 年度 実績報告書

乳酸菌由来抗菌ペプチドの特異的作用機構における分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20780055
研究機関九州大学

研究代表者

善藤 威史  九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (50380556)

キーワード乳酸菌 / 抗菌ペプチド / バクテリオシン
研究概要

乳酸菌が生産する抗菌ペプチド、バクテリオシンは、広い分野での応用が期待されている。これまでに様々な構造の乳酸菌バクテリオシンが見出され、抗菌スペクトルや抗菌活性の強さも多様である。乳酸菌バクテリオシンは他の生物種由来の抗菌ペプチドと比べ、きわめて低濃度で活性を示し、一部のものでは菌種特異的な活性を有する。しかし、その作用機構には未だ不明な点が多く、バクテリオシンの種類によっても大きく異なることが予想されている。作用機構の詳細を明らかにすることで、それに基づいた、乳酸菌バクテリオシンの効果的な利用方法の確立が期待される。前年度に引き続き、特徴的な性質をもつ新奇バクテリオシンの構造解析、および構造決定されたバクテリオシンの感受性細菌や人工細胞に対する作用の解析を行うとともに、バクテリオシンの標的細胞との相互作用の解析、バクテリオシン標的分子の探索を試みた。
新たに分離された乳酸菌が生産するバクテリオシンの精製および構造解析を行い、エンテロシンWやエンテロシンXなどの複数種の新奇バクテリオシンを同定することができた。一方、Lactococus lactis QU5が生産するバクテリオシン・ラクティシンQの作用機構を種々の微生物およびリボソームを用いて解析したところ、ラクティシンQは感受性細菌の細胞膜やリボソームに他に類を見ない巨大な孔を形成し、小さなタンパク質をはじめとする種々の細胞内物質を流出させることが明らかとなった。孔形成時のラクティシンQおよび細胞膜脂質の挙動がトロイダルポアモデルの特徴によく一致していたことから、ラクティシンQの孔形成機構を「Huge Toroidal Poreモデル」と命名した。また、ラクトサイクリシンQやエンテロシンWの作用機構を同様にして解析したところ、孔形成は確認されたものの、ラクティシンQとは異なる機構で作用していることが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Peptide-lipid huge toroidal pore, a new antimicrobial mechanism mediated by a lactococcal bacteriocin, lacticin Q2009

    • 著者名/発表者名
      Yoneyama, et al.
    • 雑誌名

      Antimicrobial Agents and Chemotherapy 53

      ページ: 3211-3217

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of a negatively charged lipid on membrane-lacticin Q interaction and resulting pore formation2009

    • 著者名/発表者名
      Yoneyama, et al.
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 74

      ページ: 218-221

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 乳酸菌が生産する抗菌性物質2009

    • 著者名/発表者名
      善藤威史, ら
    • 雑誌名

      防菌防黴 37

      ページ: 903-911

  • [学会発表] Enterocin A, B生産菌Enterococcus faecium KU-B5が生産する新奇二成分バクテリオシンenterocin X2010

    • 著者名/発表者名
      胡智柏, ら
    • 学会等名
      日本農芸化学会大会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2010-03-30

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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